にんまり顔の月の夜。

仕事帰りの寒い夜道を歩いていると、ふと目に入った月。
にんまり顔の上弦の月。
チシャ猫みたいだ。
家まで十数分間の帰り道。
…暇なので（笑）、自然といろんな事を考える。
こんな夜道では特に。
自分のこと、仕事のこと、
これからの事、これまでの事、
週末の予定、書いてみたい物語。
それから、時々、いろんな物に耳を澄ましてみる。
普段は聞き流してしまう「音」を探す。
意外と近くで水の流れる音、車のアイドリング、
風が鳴る音、遠いサイレン、どこかで誰かが笑う声。
一定のリズムを刻む、自分の足音。
どんどん、自分の感覚が広がっていく。
オレンジの明かりが漏れる家の前で鼻をくすぐるカレーの匂い。
頬を掠めた冷たい風の軌跡が、線状に頬に残る。
凍った空気を吸い込んで見上げると、暗い空に黒く伸びる電信柱の影。
見上げる視点が少しずつ変っていく。
こんな時…何故か、昔は空を飛べた気がする。
飛べることを体が覚えている気がする。
上昇していく視点を覚えている。
喪失感ないけれど、ちょっともどかしい。
ふいに、悴む指先に自分の体に感覚が戻ってくる。
この間も滞る事なく歩みを進めていた私の足。
もうすぐ家につく。
さて…今日の夕食は何かな。
さっきまでの感覚は霧が晴れるように消えて、
後に残ったのはお腹が空いた…私。
空にはあいかわらず、少しだけ角度を変えた、にんまり顔の月。

とりあえず。
交通事故には注意しよう。
歩きながらボーっとするのは危ないな（笑）


web拍手、シャキっとありがとうございますっ。

2007/01/25 (Thu) 日記 Comment(0)